「FIREするには、やっぱり1億5000万円必要でしょうか?」 「安心できる金額って、いくらですか?」
こういった議論をよく耳にします。かつての私もそうでした。 しかし、資産額という**「数字」**をゴールに設定している限り、本当の意味でのゴールは見えてきません。相場変動やインフレにおびえ、「もう少し、あと少し」とゴールポストを動かし続けてしまうからです。
私がたどり着いた結論は違います。 重要なのは「いくら(How much)」ではなく、「いつ(When)」と決めてしまうこと。
そして、私たち子育て世代にとって、その「いつ」を決める最大の決定打は、株価チャートの中ではなく、子供たちの成長曲線の中にあります。
資産額ベースの「積み上げ思考」の限界
多くの人は、現在の資産額や毎月の貯蓄額から計算して「あと何年でゴールできるか」を算出します。 しかし、これはあくまで「積み上げ思考」です。
- 市場暴落が起きれば、計画が数年後ろ倒しになる。
- 「老後2000万円問題」のように、世間の基準が変わると不安になる。
- 「お金が貯まったら辞める」=「お金に人生の主導権を握られている」状態。
これでは、いつまで経っても「今、辞める」という決断ができません。
「いつ辞めるか」から逆算する「バックキャスト思考」
私が提唱したいのは、未来の日付を確定させ、そこから現在を考える「バックキャスト思考」です。
「○年○月○日に辞める」と決める。 そうすると、思考のプロセスが劇的に変わります。
- Step 1: 日付を固定する(私の場合は2032年12月4日)。
- Step 2: その日までに用意できる資産を予測する。
- Step 3: もし完全FIREに足りなければ、**「足るを知る(生活水準の最適化)」か「稼ぐ力を足す(サイドFIRE)」**で調整する。
資産が足りないから「辞めるのを先延ばしにする」のではなく、**「その日で辞められるように自分を変える」**のです。これこそが、自分の人生をコントロールするということです。
子育て世代の最適解は「子供の自立」にある
では、その「日付」をどうやって決めるべきか? 私たち子育て世代にとって、最も合理的で、かつ幸福度の高いタイミング。それは**「子供が社会に出る日(就職)」**です。
「教育」という最大の投資
FIRE計画において、最大の不確定要素かつ最大の支出は「教育費」です。 逆に言えば、子供が大学を卒業し、就職して自立してくれれば、親の経済的責任(=必要な生活防衛資金)は劇的に下がります。
子供の自立こそが、親にとってのFIREへの一番の近道です。
子供への教育は「人的資本」への投資
私は、節約して資産を増やすことと同じくらい、あるいはそれ以上に、**「子供が自立して生きていける力をつけさせること」**に情熱を注ぐべきだと考えています。
もし子供に「稼ぐ力」「生き抜く力」が備わっていれば、親は過度な資産(遺産)を残す必要がなくなります。 『DIE WITH ZERO』の考え方にも通じますが、子供が自立さえしていれば、私たちは自分たちの老後資金だけを心配すればよくなるのです。
- 資産運用で数字を増やすことだけに執着しない。
- 子供の教育(自立心)に投資し、親の扶養から早期に卒業してもらう。
- **「末子が就職する年」**をFIREのアンカー(基準点)に設定する。
ライフイベントを直視せよ
最適なタイミングは人それぞれです。 しかし、それはS&P500の利回り計算からは出てきません。あなたの「ライフイベント表」の中にあります。
- 子供の大学卒業はいつか?
- 住宅ローンの完済はいつか?
- 親の介護が必要になる可能性はいつか?
これらを書き出し、**「ここを過ぎれば、お金の心配が激減するポイント」**を見つけてください。そこが、あなたが旗を立てるべき「Xデー」です。
まとめ:日付を決めれば、準備が変わる
いくら貯まるかを待つのは、もうやめましょう。
私たちは、子供の成長という確かな時計を持っています。 子供たちが自分の足で歩き出すその日を、私たち親の「新しい人生の初日」にする。
そう決めれば、今日やるべきことは「株価チェック」だけではないはずです。 子供と向き合い、自立を促し、そして自分自身も会社に依存しない準備(副業やスキルアップ)を進める。
「いつか」ではなく「その日」を目指して。これこそが、家族を持つ私たちが目指すべき、地に足のついたFIRE計画ではないでしょうか。

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